2023年2月16日に日本酒ライフスペシャリストのメディア向け講習会を開催しました。
講習会で実施する講義の内容やポイントをレポートとしてお届けします。
講習の最初のプログラムは日本酒の「ラベルの読み方」と「歴史」。
「普通酒はどういうお酒のことなのか?」「無濾過生原酒とは?」などのラベルに書かれる内容をそれぞれ丁寧に解説します。また、「製造年月」については、2023年1月にそのルールが変わったばかりで、タイムリーな内容も含んで解説しています。日本酒のラベルに書かれている専門用語がわかると、日本酒選びが楽しくなりますよね。この講義では学んだ後にすぐに役立つ内容が盛りだくさんとなっています。
また、日本酒のラベルをよく見ると原料が「米・米麹」と書かれているものと、「米・米麹・醸造アルコール」と書かれているものがあります。「醸造アルコール」とは一体・・・。 実はこの醸造アルコールはサトウキビ類から造った蒸留酒のことで、吟醸香と呼ばれるフルーティーな香気成分を引き出したり、軽快・ドライな口当たりを引き出したりする効果があります。
このようなことを知るだけでも、ラベルを見ただけでなんとなくお酒の味がイメージできるようになりますね。
日本酒の歴史では、日本酒の起源である「どぶろく」についても学びます。原点回帰で最近再注目されていますよね。
また、昭和から現代にかけての日本酒の変遷を分かりやすく解説しています。誰かに話したくなるようなうんちく情報もふんだんに含んだ内容で講義が行われます。
続いては、コンラッド東京 アシスタントFBマネージャーで、世界一の唎酒師を決める「世界唎酒師コンクール」第4回大会 優勝者 北原氏が担当する日本酒の「テイスティング」、「料理とのペアリング」の講義。
テイスティングをしたことがない人もご安心ください。北原氏が一から丁寧にテイスティングを解説を行います。テイスティングのポイントは、まず外観をチェックし、次に香りを感じ、最後に味わいを確かめること、また、自分の好みに合うのか、価格に納得感があるのかを確認します。
テイスティングが終わると、4タイプの日本酒と様々な料理とのペアリングを行います。近年「ペアリング」は多くの方が注目する日本酒を楽しむための重要なポイントです。日本酒ライフスペシャリストの講習会でもしっかりと体感いただきながら学んでいただきます。
たとえば蒸し野菜は「爽酒・薫酒」に合わせることでその甘味と素材の旨味を感じることができます。これは、日本酒には素材そのものの味を引き立たせることができるからです。さらに塩辛やたたみイワシなどは「醇酒」と合わせることで生臭さが消え、より味わい深くなります。また、羊羹は「醇酒・熟酒」と合わせると酸味ばかりが際立ちいまひとつですが「薫酒」との相性は良い、など、同じ食材でも合わせる日本酒の種類を変えることでこんなにも感じ方が変わることを実際に体験していただきます。料理とお酒が合う組み合わせを知るだけでなく、なぜ合うのかの理由も解説しているので、ご自宅や飲食店でお食事するときにすぐに応用ができます。
さらにさらに、出汁を使って「旨味」のユニークな実験も。昆布とかつおの出汁をそれぞれ味わった後、混ぜて飲んでみると、味成分と相性が良い「醇酒」に合う味になり、さらに、すだちを絞って飲んでみると清涼感が加わり、「薫酒」と合う味になりました。料理に別のものを加えるだけでも日本酒との相性が変化することに参加者の皆さんは大変驚いていました。
続いては、株式会社せんきん 杜氏兼常務取締役の薄井氏による日本酒の「原料」と「造り」の講義。
まずは原料である水や米についてわかりやすく解説いただきます。さらに、この講義のために、酒造りで使用している仕込み水を教材として酒蔵からお持ちいただいてます。せんきんで使用している仕込み水(軟水)とコントレックス(硬水)を飲み比べ、水自体の違いを確認して、その後に、水の違いが日本酒の香味に与える影響について解説いただきます。
講習会には、せんきんの酒蔵見学映像がプログラムに組み込まれていますが、薄井杜氏にはさらに深い部分やわかりづらい部分を丁寧にわかりやすく解説いただいております。また、会場ならではなの体験として、実際に製法による違いを確かめるための比較テイスティングがあります。薄井杜氏にはせんきんの商品の中から、生酛の日本酒と速醸酛の日本酒を教材としてお持ちいただき皆さんに飲み比べていただきます(もちろん生酛や速醸酛の違いを分かりやすく説明いただいた後に飲み比べます)。飲み比べてみることでその違いを感覚でも理解いただけます。
さらに薄井氏が日本酒造りで大切にしていることなど、酒造りのこだわりや思いなどについてもお話しいただきます。日本酒ライフスペシャリストになられた際には、ぜひ酒蔵の思いなども他の方にシェアしてください。酒蔵の思いを聞くことによって日本酒に興味を持つ方、日本酒をさらに好きになる方が増え、日本酒の輪が広がると考えます。
ここからは基調講演となります。基調講演の一つ目は、「KAGO」などの錫製品で有名な株式会社能作 代表取締役社長 能作千春氏によるの「器」についての講義。
日本酒を楽しむのに欠かせない要素の一つ「器」。器の形状や素材の違いが日本酒の香味に与える影響をお話しいただきます。さらには、そこから発展したところで、酒器の選び方のポイントも解説いただきます。また、能作氏には、錫のプロとして、錫の特徴や能作のこだわりなど、錫に特化した内容もお話しいただいております。
最後の講義は、一般社団法人日本酒学会 代表理事で日本酒学講師の関口氏による、「健康」をテーマにしたお酒の話です。日本酒ライフスペシャリストとしてお酒を楽しむには、当然、体が健康でなくてはなりません。ぜひ、日本酒ライフスペシャリストの方に体現していただき、さらに周りの方に広めていただきたいお話しです。
講義ではアルコールが体に及ぼす影響について、体内でアルコールがどのように吸収されるかを知り、さらに一緒に食べるおつまみの工夫によって身体への悪影響や二日酔いなどを防ぐことができることなどをお話しいただきました。また、健康にプラスして美容のことにも触れてただきます。健康や美容に特化した内容は、まさに日本酒ライフスペシャリスト講習会ならではの講義です。
講習会を受けていただいた後、試験を受け、合格基準を満たせば「日本酒ライフスペシャリスト」に認定されます。
認定証書(カード型)と合格記念品の錫のぐい呑みを授与します。また、希望者はB5サイズの認定証書や認定証(ピンズ)を購入いただけます。
「日本酒ライフスペシャリスト」を通じて日本酒の知識を得ることで、普段の生活が日本酒によってより楽しくなります。日本酒選びから、器選び、料理とのペアリングなど、様々なことにも気を配れるようになります。また、日本酒ライフスペシャリストは周りの方にも日本酒の楽しさを伝えられる存在です。
「日本酒ライフスペシャリスト」として日本酒を楽しみながら、日本酒の魅力を広めていきませんか?
写真撮影者:松本果歩
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※ここで紹介した内容はメディア向け講習会のプログラムです。6月以降には更にブラッシュアップした内容のプログラムと講師陣で開催します。